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34 months ago

何故バイクを作品に使うのか?
これにはたくさんの意味と、過去の思いがあります。まず、芸術という創作活動の邪魔になることをやっている場合ではない。人生はそんなに甘くないと若い頃は思っていました。しかし、人よりも強度をもってやれることの中にこそ自分自身の可能性があるときづきました。そこから私はいろいろと禁断の可能性をためしていきます。体感するなかで頭で考えるのでは無く、直感的(本能的)に鳥肌が立った物事を作品の素材にすると決めました。オフロードバイクはまさに乗ったときに、馬のような自由を手に入れたように震えたのです。もともとオフロードバイクがかっこいいとは思っていませんでした。

そこから、この感動をかみしめるように、バイクとの付き合いが始まります。この乗り物を馬のように乗りこなせば、現代人が捨ててきた自然の景色を手に入れることができます。
ひとは、道路という秩序をもうけることで、安全で便利で簡単に目的地に行けるようになりましたが、楽と引き換えに山や川を縦横無尽にかけめぐることでしか見れない自然の景色を捨ててしまったのです。現代には、山を越えていた頃の景色をみた人がほとんどいません。何もないという人の周りにはだいたい自然が広がっています。現代社会は都会脳なので、能力の無い人間ほど自然のことを「何もない場所」と表現します。世界は端から端まで、素晴らしい自然に満ちあふれている。その世界の見方を捨てていたことを、私はオフロードバイクに乗ることで気づかされました。

 

旨く乗ればまるで馬のように乗れるバイク。これは乗れるようになるしかない。日本最大のエンデューロレースに数々参戦し、まるで馬を飼育しているようにバイクのメンテナンスや走破能力を上げていく日々を重ねながら、バイクと自分の関係性を深め充分に理解しました。そして、自分が得ている世界や感動をどのように表現するのかを考えていくことでいまの作品「キャリア」がうまれました。
「キャリア」の形を変えることで、積載する道具やものをレイアウトすることで、この乗り物で私が何をしようとして、何を見ようとしているのか?想像することができます。単なる乗り物では無く、「自由の象徴」として「世界を押し広げる」乗り物を支持体にした作品から広がる景色を想像してもらいたい。これだけ乗れるようになると、自由が広がることになり、死ぬまで見れないような世界が膨大に広がってゆく。

OFFROAD=ロードをオフする=秩序の外=自由

そんな自由と解放を表現しているのがこの作品です。